メンズスーツの時間

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スーツのトレンドとは

スーツにトレンドと言う考え方が持ち込まれたのは、そんな古い話ではありません。今のスーツが作られて150年程度の歴史しかありませんが、そのなかでトレンドと言われる動きがスーツの世界で現れ始めたのは、ここ50年程度です。今のスーツ自体が大きな意味での服飾のトレンドと言えますが、オーダースーツがスーツの主流であった時代には、トレンドという考え方は、意味をなしていませんでした。せいぜいイタリア旅行をしたイギリス人が、マカロニスーツなどをはやらしたぐらいで、イギリスはイギリスのスーツを堅持し、イタリアは独自のスーツ文化を発展させていました。

その意味では、狭い範囲でのファッションとして保守的なスーツのデザインが受け継がれてきたと言えますが、スーツにファッショントレンドが現れ始めたのは国際化の波が押し寄せた頃からでしょう。異文化交流によって共通の礼服として認められたスーツが、今まで保守的であったデザインも、国や人種によってさまざまな違いが出てきて流行を起こすようになったと言えます。

ただ共通の礼服としてスーツは見なされますから、フォーマルなスーツであれば一定のモード(形式)は守られる必要があり、レディースファッションのトレンドとは、およそ性格が違うと言えます。

保守と革新

スーツは保守的なものである事を前提に考えれば、その重点とするところは着心地にあると言えます。その点でイギリスのトラディショナルなスーツやイタリアのナポリスーツが最高峰である事は誰しも認めるところです。それに風穴を開けるおきて破りのスーツを作り始めたのは、レディースのデザイナー達で、着心地よりもデザイン性を優先したスーツ作りを行なったわけです。

代表格がピエール・カルダンで、1960年にメンズのプレタポルテを発表して注目を浴びました。ピエール・カルダン以後、レディースのブランドでも盛んにメンズウエアが発表されるようになりました。

アルマーニのスーツスーツにおけるエポックメーカーは、アルマーニと言えます。既製服としてのプレタポルテに、イタリアのオーダーメイドスーツの縫製法やゼニアなどの最高級な生地を贅沢に用いて、既製服の概念を打ち破ったといえます。

現在のスーツのトレンドは既製服のスーツが作っていると言えますが、アルマーニ、バーバリーやポ-ル・スミスに混じってグッチやシャネルなどレディースブランドのスーツも人気を呼んでいます。

最近のスーツトレンド

最近のスーツトレンドは、暫らく続いたクラシコイタリア系のデザインから、オーソドックスな2ボタンスタイルとスラントポケットの、ブリティッシュ系のトラディショナルスーツに揺り戻しがきそうです。それでもシルエット自体はクラシコイタリアのテイストが保たれた、シャープなゴージーラインで仕上げられたスーツが目立ちます。

オーダースーツの分野では、従来の既製服を取り扱っていた企業が、オーダースーツの分野に進出する動きを見せています。スーツカンパニーは紳士服の青山が展開するパーターンオーダーの店舗で、各国の良い所取りをしたようなブランドですが、デパートなどに比べれば、自社で製造販売を行うSPA方式を取っており、販売リスクを自社で負っている潔いブランドと言えるでしょう。生産ラインは中国ですが、製造ラインの設計管理はイタリア人のスーツ製作の管理者であるモデリストが行なっており、品質は侮れないものが有ります。

商社系のオーダースーツブランドとして、一旦は民事再生法の適用を受けた麻布テーラーも、伊藤忠商事との提携で元気をとりもしつつありますが、リーズナブルな価格設定と仕立ては、十分納得のいくものです。

ユナイテッドアローズなどは、高級路線を突っ走っている感じで、オーダー会にはサビル・ロウの職人を招聘して行なうなど徹底しています。ユナイテッドアローズに限らず、イギリスやイタリアのモデリストを招聘してのオーダー会は結構行なわれています。

最近のスーツのトレンドは、廉価版や高級品に限らず、デザインよりは、スーツの制作方法の点で既製服からオーダーメイドに傾きつつあるように思えます。とは言えスーツ全体の販売数量からすれば、1%にも満たない微々たるモノですが、消費者の目が肥えてブランド名に騙されず、良質なスーツが多く作られるようになってくれれば、良いと思います。

 

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