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ブランドの苦悩
スーツのブランドにとって、今日ほど厳しい時代は無いと言えます。戦後から始まった大量生産大量消費の形が、価格競争によって根底から日本国内のアパレル産業を衰退させています。その一方でヨーロッパなどの本格的な高級オーダーメイドスーツの情報が消費者にも浸透していき、2極分化をもたらし、主流のファクトリーメイドのアパレル業界にとっては、安い人件費を求めてアジアに生産拠点を求めるしか選択肢がなくなりつつあります。
先進国病と言われる、かつてのイギリスと同じ、現在のアメリカと同じ現象です。日本が発展すればするほど、このような事態になることは避けて通れず、アメリカの生産方法を模倣した時点で運命は決まっていたと言えます。
イギリスやフランスは、それでもハンドメイドクラフトの伝統をかたくなに守り、小さな工房の手により高品質な製品を生み出す事によって、世界のアパレル産業をリードしている訳です。日本にとってスーツに関する伝統や技術が無かったわけではなく、零細なテーラーによって支えられてきましたが、営利主義と能率主義のもとに、非生産的なオーダーメイドは駆逐され、消費者が本物志向に目覚めた現在、国内でイギリスやイタリアのスーツに負けない製品は稀有となりました。
身から出た錆びと言えばそれまでですが、スーツ産業の衰退は既製服によってもたらせたと言えます。基本的なスタンスとして、既製服ばかりを重視した営利主義をとったアパレル産業の責任は大きいと言えます。
人的資産を軽視する傾向は、アパレル産業に限った事ではありませんが、日本の人件費が高くなれば、大量生産大量消費の経済姿勢をとっている限り限界があり、先進国の多くは高品質な製品にシフトしていく事が歴史に学ぶところです。
現在のアパレル業界で、ブランドと呼ばれるものは、高級化を図る上での戦略ですが、生地の素材やデザイン性を重視することに終始し、ソフトの部分である裁断や縫製などの部分は、相も変わらず旧態依然としています。言わばアパレル業界の構造的な問題で、解決するには、伝統と言う長く重たい課題が圧し掛かります。
ブランドのレーベルとは?
ブランドは、日本流に言えば、暖簾です。老舗の暖簾のお店の商品は、長い間消費者から評価され、品質を保証されているため、高いステータスがあり、暖簾を汚さないため常に品質の維持に努力されています。ブランドとはそう言う事です。その中にレーベルを創設する事は何故かと言えば、固定したイメージを広げるためのカテゴリー分けと言えます。
バーバリーなどのレーベルで、ブラックレーベルとブルーレーベルが有ります。一般的に高級紳士服のイメージを持たれるバーバリーが、20代を中心とした若年層に販路を広げるために、ブラックレーベルを従来のメンズのほかに若いメンズファッション路線にし、ブルーレーベルをレディース向けにしたまでの事で、バーバリーと言うか三陽商会の販売戦略の一貫と言えます。
低迷するスーツ業界で、他のアイテムブランド同様、スーツだけではなくトータルコーディネイトと称して、シャツやネクタイだけでなく、靴や帽子なども販売する傾向に有りますが、複数のレーベルを有しているブランドでは、得てしてこの傾向が顕著です。ただし餅屋は餅屋で、それぞれの専門のメーカーやブランドには叶うはずもありませんし、身につけるアイテムを同じブランドで統一することなど、お世辞にもセンスが良いとはいえません。
意味のあるレーベル
レーベルは、ブランドの統括的なデザインを受け持つファッションディレクターが、傘下のデザイナーに独自のテイストでデザインさせるファッションカテゴリーと言う事が出来ますが、ブランドやデザイナーの性格や特長によって、一概に定義づけすることは出来ません。レディースの専門のブランドが、メンズスーツのレーベルを作る場合、ファッション性の高いスーツに仕上がり、高級感のあるスーツと言えますが、それだけ着る人を選び高価なスーツと言えます。
意味があるレーベルとして考えられるのは、一般のスーツとカジュアルスーツなどを分けるために、ブランドの中にレーベルを創設する場合などで、廉価版や女性向けのレーベルでは、著名なブランド名の元に、ブランドイメージを利用しようとする販売意図が見え見えです。日本ではカジュアルスーツと言うカテゴリーはあまり無く、インポートのブランド以外ではあまり見かけませんが、ジャケットも含めてメンズのカジュアルスーツにも、もっと注目されても良いと思います。
デザイナーズブランドでは、ジャケットとパンツやベストを別売りにしているところもありますが、単体のカテゴリーとして分ける事で、ジャケットとパンツをサイズ別に選べるため、便利と言えるでしょう。「オム(HOMME)」が後ろに付いているのが、男性用のレーベルと言えますが、最近のブランドではメンズもレディースも両方取り扱うようになり、メジャーブランドでは結構良く見かけるようになりました。一般のメンズには無いテイストを味わうには、試す価値があると言えます。
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