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レディーメイドのデザインとは
既製服で、スーツのデザインが極端に変わると言う事は、まず考えられません。ただ伝統的なデザインの中で、イタリアンクラシコやブリティッシュトラッド、アイビーやニュートラッドと言った流行があり、センターベントやサイドベント、ボタンの数や、シングルダブルと言った大きな流行のうねりがあるものの、それぞれの基本形を大きく逸脱するものは、ハッキリ言って全くないです。
ミシンやコンピューターを駆使して作られる、既製服のデザインは、ディテールに関わる部分で、ユニット化されたパーツの組み合わせでしかありません。こう言ってしまうと身も蓋もありませんが、市販の既成服のスーツで、ブランドをいくつ上げられますか?今年のトレンドは?ボタンが3ボタンから2つボタンになったと最もらしく言っているところもありますが、10年前のカタログを見ると同じようなデザインのスーツが載せられています。
他のアパレルのデザインでも大体20年から30年前のファッショントレンドをリバイバルさせては、今年のトレンドと言っています。細見のスーツでも30年前にはやったイギリスのモッズの影響ですし、同じスーツを大事に10年持っていれば、最新のスーツになってしまうなんてことも、冗談ではありません。
既製服のデザインは、車で言えばマイナーチェンジの繰り返しでしかないと言う寂しい話になってしまいますが、スーツの着こなしは、ネクタイ、ワイシャツ、シューズなどのトータルコーディネイトが基本ですから、スーツ単体でデザインを言ってもしょうがない事かもしれません。
既製服の仕立の良し悪し
既製服のスーツに限らず、仕立ての良し悪しは丸みの整形にあると言われています。身体は丸みを帯びていますから、当然の話ですけれど、既製服のような平面設計されたものから、丸みを帯びたデザインを求める事はかなり無理があると言わざるを得ません。本来体の微妙な丸みをスーツに反映するためには、仮縫いの工程が必要ですが、既成のスーツでは無理です。仮に手縫いの部分が多いと、ミシン目より柔らかい仕上りになり、多少は着心地が良くなりますが、それも普通の既製服では無理です。
「無理」ばかり言っていますが、高い既成のスーツの中には、手縫いで仕上げたスーツもあります。ただしインポートモノや、限定生産した高級なスーツには、手縫いで仕上げられたスーツは確かにありますが、価格的にオーダーが作れてしまう値段で販売されていますから、悩ましい判断になります。
縫製の良し悪しは、縫製だけでなく、型崩れなどを防ぐ補正材の使われ方も重要な要素で、補正材をたくさん使っていれば良いかと言えば、やたら肩のパットが入れてあるスーツは、かえって着難く、動き難くなり、シルエットも綺麗とは言えません。更に言えば既成品として、なるだけ多くの人に合うように遊びを設けているスーツがベターなスーツと言えるでしょう。既製品のスーツで、ここまでのスーツを求めるとなると、ある程度の出費は覚悟しなくてはなりません。
既製服のスーツは身の丈で選ぶべし
日本人と欧米人の体形の違いは、日本人の体格が大きくなっても、民族的な特性までは乗り越えられません。バーバリーやアクアスキュータムのスーツを購入するなら、ロンドンまでの航空券を用意する必要がありますが、既製品のバーバリーは、三陽商会が日本人の体形に合った型紙を使って作られていますから、日本人向きである事に間違いはありません。
インポートモノのバーバリーの既製服があったとして、三陽商会製のバーバリーとでは、生地も縫製も価格も違います。日本で販売されているバーバリーは、日本人向けに作り直されたものですから、オーダーの違い別にしても、同じと言うわけには行きません。しかしイギリス本国で作成されたバーバリーのスーツが手放しで良いかと言えば、そうでもありません。
オーダーは別にしても、1着では足りません。最低2着は必要です。良いスーツは、1日着たら1日休ませる事が必要ですから、最低2着必要になります。高級な服ほど手入れが必要ですから、テーラーにあるような立体的なハンガーと上質なブラシも必要です。更に言えば、バーバリーのスーツに合ったシューズやYシャツ、ネクタイと、相当高い買い物になってしまいます。そもそも既製服のバーバリースーツなどありません。
スーツを選ぶ場合、高級なものを着るということは、足の先から頭のてっぺんまで、調和が取れたアイテムで統一されていなければ、おしゃれとはいえません。高いスーツを着て、1万円のクォーツ時計では洒落にもなりません。スーツは嫌味な言い方をすれば、社会的なステータスを示すものですから、あまり若い人が高いスーツを着ることは、江戸時代で言えば、町人が裃や袴を着ているようなもので、粋ではなくこっけいです。既製服を購入する際は、ご自分の身の丈を考えて、それなりの価格のものを選んでおく方が無難です。
